初めて知ったことがいくつもあった。
例えば、「聴者」という呼び方。
「健聴者」というのがふつうかなと思っていたが、「健」とつくと「ろう者」を下に見ている言い方になると気付かされた。
ろう者にとって日本語は外国語のようなものであること。
だから、筆談で文章を書くときにも、「てにをは」を間違いやすい。
聴者は、言葉を獲得する時期に、日本語のシャワーを1万5千時間も浴びて自然に覚えるが、ろう者はそれがなく、文法として覚えなくてはならない。
しかも、日本語を手話できちんと教えられる人は極めて少ない。
就労しても、長く続けられないことが多い。
大勢の中で聞こえないことによって、孤立感を深めていくからだ。周囲が気づかないだけでなく、あからさまに嫌な顔をされることもある。
ろう者でいじめや差別を経験したことがある人は、10人中9人!
そんなことにも気づかずに過ごして来たことが恥ずかしい。
イギリスでは、仕事のはじめから終わりまで、手話通訳者がつくという。
日本は何も支援がない。
自分の聴こえる力を何かに役立てられないかなと思った。