いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

駅の小さな野良ネコ

ジーン・グレイグヘッド・ジョージ作。

鈴木まもるさんのネコの挿絵がとてもいい。

 

作者は、駅周辺で暮らす野良ネコを科学者のような目で観察してこの物語を書き上げたらしい。

だから、ドラマチックでなく、野良ネコたちの生活が淡々と描かれている。

年取って死んでいくネコや、駅の改築のためにネコが追い出されるなど、容赦無く襲ってくる運命に翻弄されながらも、それらを受け入れながら生き抜いていく姿が描かれる。

ラチェットの赤ちゃんだって、オス猫に襲われて3匹しか生き残れなかった。

 

それでも、人間とネコの間に積み上げられてきた歴史が、次のような言葉で端的に伝えられる。

 

「種の記憶ーはるか昔からネコに受けつがれてきた記憶ーのなかから、〈いい子ね、おいで、おいで〉という、うたうような声がよみがえる。」

 

「ネコという生き物は、おたがいをみとめあうが、友だちになったり、親しくなりすぎたりしない。」

 

ネコに対する、ひとかたならない愛情が感じられる。

 

f:id:kuroneko356:20190924163856j:image

 

f:id:kuroneko356:20190924163907j:image