題名がいいです、その気持ちよーく分かります。
角田光代さんは犬派と思ってました。
でも、犬も猫もそれまで飼ったことなくて、初めて飼ったのが猫のトトだったのですね。
トトの中には何か違う生き物が入っているという感覚は、ぼくもニャンちゅうでよく味わいました。
猫が来る前BC(before Cat)と来てからAC(After Cat)の世界の変わりよう、本当にその通りです。
これからの小説に、もしかしたら猫が出てくるかもですね。
安田夏菜著。
読み終わって、著者の略歴見てビックリ。
ぼくも同じ大学出身だ。しかも2年違いだから、どこかですれ違ってたかもしれない。
山之内和真と佐野樹希の2人の視点で物語は進んでいく。
中学受験で超有名私立に合格したが、落ちこぼれて公立中に戻ってきた和真と、父が死に病気で働けない母と幼い妹を抱え、生活保護でなんとか暮らしている樹希。
普通なら出会うこともない2人が、和真が麦茶と間違えて梅酒を飲んで酔っ払ってしまったことで、関わり合ってしまう。
生活保護家庭では大学には行けない、高校でバイトしても意味がないし貯金もできないとケースワーカーから言われていた樹希は、すべてのことに投げやりになっている。
当たり前に家族がいて、当たり前になに不自由なく暮らしているのにくよくよしている和真に、敵意しか持っていなかった。
その樹希が、「おまえの言うことは、難しくってよくわからないけどさ」「おまえみたいなやつが、この世にいてくれないと困る。そのことだけは、わかった気がするよ」と言った場面が好き。
本田昌子作。
この人は、ぼくと同い年。
2015年の課題図書だそうだ。
おじいちゃんが亡くなって取り壊されることになった古い家で、庭の池のハスの花が咲く瞬間のポンという音を聴こうとする主人公。
早朝、ハスの蕾を見ながら待っていると、夢を見ているように過去の世界にタイムスリップしてしまう。
その家で暮らした家族と時間を共に過ごし、だんだん心がほどけてくる。