いちばんべったこ

tabi noti dokusyo tokidoki guti

今日も一日きみを見てた

題名がいいです、その気持ちよーく分かります。

角田光代さんは犬派と思ってました。

でも、犬も猫もそれまで飼ったことなくて、初めて飼ったのが猫のトトだったのですね。

トトの中には何か違う生き物が入っているという感覚は、ぼくもニャンちゅうでよく味わいました。

猫が来る前BC(before  Cat)と来てからAC(After  Cat)の世界の変わりよう、本当にその通りです。

これからの小説に、もしかしたら猫が出てくるかもですね。

 

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船上でチェロを弾く

藤谷治さんの本。エッセイ集。

『船に乗れ!』の人ですね。

有名な音楽家やクラシックの難しい曲名がたくさん出てくる。

母方の家系が音楽一家で、ピアノやチェロを習い、たくさんの曲を聞いたり弾いたりしてきたそうだ。

ぼくには全然わからないんだけど、それでもぐいぐい引き込まれる。

「チェロを盗まれた話」は、新聞記事か何かで知っていたから、息継ぎせずに読んだ。

図書館でこの人の本はなかなか見つからないので、読めてよかった。

 

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たまねぎとはちみつ

瀧羽麻子さん作。

アラビア語のことわざで、今日はたまねぎ明日ははちみつ、というのがあるそうだ。

悪いこともあれば、いいこともあるというような意味。

ふとしたことで知り合った修理屋のおじさんに、学校での出来事を相談するようになる主人公。

今日はたまねぎだったのか、それともはちみつだったのか。

 

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むこう岸

安田夏菜著。

読み終わって、著者の略歴見てビックリ。

ぼくも同じ大学出身だ。しかも2年違いだから、どこかですれ違ってたかもしれない。

 

山之内和真と佐野樹希の2人の視点で物語は進んでいく。

中学受験で超有名私立に合格したが、落ちこぼれて公立中に戻ってきた和真と、父が死に病気で働けない母と幼い妹を抱え、生活保護でなんとか暮らしている樹希。

 

普通なら出会うこともない2人が、和真が麦茶と間違えて梅酒を飲んで酔っ払ってしまったことで、関わり合ってしまう。

生活保護家庭では大学には行けない、高校でバイトしても意味がないし貯金もできないとケースワーカーから言われていた樹希は、すべてのことに投げやりになっている。

当たり前に家族がいて、当たり前になに不自由なく暮らしているのにくよくよしている和真に、敵意しか持っていなかった。

 

その樹希が、「おまえの言うことは、難しくってよくわからないけどさ」「おまえみたいなやつが、この世にいてくれないと困る。そのことだけは、わかった気がするよ」と言った場面が好き。

 

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いつか太陽の船

村中李衣さんの本。

わざわざ花咲港まで行って、サンマに関わる人々を取材したそうだ。

気仙沼で被災し花咲港に来たのが、主人公の両親。

アルミで漁船を作る仕事している。

地震の傷跡はまだ根深いけど、少しでも元気になってほしいなあ。

 

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夏の朝

本田昌子作。

この人は、ぼくと同い年。

2015年の課題図書だそうだ。

おじいちゃんが亡くなって取り壊されることになった古い家で、庭の池のハスの花が咲く瞬間のポンという音を聴こうとする主人公。

早朝、ハスの蕾を見ながら待っていると、夢を見ているように過去の世界にタイムスリップしてしまう。

その家で暮らした家族と時間を共に過ごし、だんだん心がほどけてくる。

 

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もみじの言いぶん

前からずーっと読みたかった本。

村山由佳著。

どこの図書館でも貸し出し中で、なかなか手に取ることができなかった。

どうして大阪弁で、それももみじの視点で書かれているのか、通して読んで合点がいった。

もしも村山さんの視点で書いたら、もみじを失った悲しみに耐えきれなくなったし、もみじを想うあまりにひとりよがりになると村山さんが感じたからだと思った。

この本のおかげで、もみじは村山さんの心にも読者の心にもずっと生き続ける。

 

義母の歯医者さんに付き添い中、待合室で読み終えた。

 

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